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腰痛には多くの原因があり、内臓疾患が起因するものや骨、関節、筋の障害によるもの、加齢による変性によるもの、椎間板の損傷によるもの、心因性のものなどがあります。 一般的に、レントゲンなどの画像診断を行いますが異常が発見されない腰痛も少なくありません。慢性腰痛にいたっては、現在でも医学的に原因がはっきり解明されていません。 簡易腰痛診断・対処法は「腰痛セルフチェックシート」で |
原因による痛みの特徴
内臓疾患による腰痛
又、腹部大動脈瘤もその血管壁が破れる過程で急性の激しい腰痛を伴います。これらの痛みの特徴としては、安静時にも痛みがあるということで、特に、就寝時に痛みで目覚めるなどの徴候は悪性腫瘍やそれらの骨転移の可能性が考えられます。
骨、関節、筋の障害による腰痛
重いものを持ち上げた時や捻った時など腰に負荷がかかった時によく起こるのが、筋・筋膜の損傷、椎間関節の捻挫、仙腸関節の捻挫や椎間板の損傷で、ひどいときには立てなくなることもありますが横になって安静にしている時には痛みが治まっていて、ほとんどの場合1週間から10日(椎間板損傷の場合はさらに時間がかかることがあります)で痛みはほぼ治まります。
しかし、治癒後に機能回復が完全になされていないと慢性化を起こす原因となります。
機能不全による腰痛は動かしはじめに痛く、少し動かしていると痛みが和らぐ、又はなくなるという特徴があります。
骨粗鬆症の人は圧迫骨折を起こしやすく、その場合痛みは長引きますが、安静期間が長くなると、筋の萎縮や関節機能障害が起きるので早期からのリハビリテーションが必要です。
慢性関節リウマチ(RA)による関節の変性も進行性の腰痛を起こしますが、専門医の指導による運動療法で、関節機能の低下はある程度防げます。
変性(加齢等)による腰痛
又、外力による損傷部位は変性が早くから始まり、若年でも起こることがあります。
痛みの特徴としては、朝起きる時に痛みが強く、しばらく動かしていると痛みがなくなったり、同じ姿勢を長時間しているとその後動かす時に痛みが起こるという機能不全による腰痛と同様の痛みが出ます。
しかし、画像診断の結果と症状との整合性は疑わしいといわれています。
神経症状を伴う腰痛
慢性腰痛
他の部位にくらべ腰部は、立てなくなる恐怖からか傷害後にかばって運動不足になる傾向にあって、それが慢性化を起こす原因と考えられます。急性腰痛の炎症期終了後は、なるべく早期からの運動療法による機能回復が必要です。
肩こりと同じく、腰部の筋・筋膜痛症候群も慢性疼痛の原因となります。その場合、痛みは臀部まで広がる事があります。
その他、慢性腰痛には肩こり同様、心因性のものも多く、うつ病や抑うつ傾向にある人によく現れます。
心配事や、不安、怒りの感情を抑圧する事により、交感神経起因の循環不全が起きることが原因であるという理論もあります。(TMS理論)
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姿勢による腰痛
日常生活では腰を屈曲させている状態が非常に多く、寝ているとき、椅子に座っているとき、車の運転、洗顔、掃除など、多くは腰を曲げている状態にあります。関節は動かす事の少ない部分から運動制限を起こすので、加齢とともに腰は後ろに反りにくくなります。
しかし、立つためには腰は反る必要があるので、どうしても腰の下の方の関節では上の方が反りにくい分、代償的に反りすぎになり、関節に負担がかかり痛みを起こします。
痛みを避けようとすると、腰をしっかりと伸ばす事ができなくなります。これが老人の腰が曲がっている理由といえます。
それゆえに、腰痛からの開放に姿勢と運動(特に伸展方向)は必要不可欠であるといえます。
背骨の状態を見やすくするため、腕は省略しています。