椎間板損傷
椎間板損傷とは
椎間板の構造は例えるなら、「お菓子のバウムクーヘンの穴の中にゼリーが入っているような状態」でバウムクーヘンのような多重構造になったいるコラーゲン線維でできている線維輪とゲル状でムコ多糖体の髄核で構成されています。
椎間板というと椎間板ヘルニアをすぐに思い浮かべますが、椎間板損傷はヘルニアだけではありません。ヘルニアになる一歩手前の椎間板内障や、老化による変性に外力が加わっての線維輪の損傷などがあります。
椎間板ヘルニアとは、繰り返される物理的ストレスや老化によって脆弱化した線維輪に、外力や腹圧上昇による亀裂が入り、そこに髄核が移動し、線維輪が変形した状態 ( 膨隆ヘルニア ) や髄核が線維輪を突き破り飛び出た状態 ( 脱出ヘルニア ) をいいます。
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膨隆ヘルニア | 脱出ヘルニア |
椎間板ヘルニアによって脊髄神経が内から、または外から刺激を受けることにより下肢に痺れ、放散痛が出現し、痛みを回避するために無意識の体の傾きが現われます。
このとき、外側から刺激を受けているときは痛みと反対側に、内から刺激を受けているときは痛みのある側に傾きます。
椎間板内障の場合は、椎間板の線維輪の内側に亀裂が入って髄核の移動はあるものの、椎間板自身の膨隆は少ないため神経症状はありませんが、髄核の移動により体の傾きは現われます。
椎間板の髄核は90%が水分で構成されているので加齢による髄核の脱水により椎間板は、その高さを失い、線維輪は変性します。そして、変性した椎間板は容易に損傷します。
椎間板ヘルニアについて
椎間板ヘルニアというと手術の必要があるように思われますが、最近研究では、膀胱直腸障害 ( 尿閉や便失禁 ) がある場合は緊急手術ですが、それ以外は3ヶ月は保存療法で様子を見る事が推奨されています。
MRIなどの高度画像診断によりヘルニアが自然に消失する事やヘルニアによる機械的圧迫のみが痛みの原因ではないことが判明したことにより ( MRIの診断を受けた多くの健常者にヘルニアが発見されたため ) 手術の頻度は低く(10%以下)なっています。
保存療法で改善が見られない場合は手術の適応ですが、医療技術の進歩により、最近では内視鏡手術や顕微鏡下手術など2〜3cmの切開ですみ、入院期間も7〜10日と短くすむ方法やレーザー治療のように数mmの切開で場合によっては日帰り手術ですむ方法もあり、選択肢は増えてきています。 ( レーザー治療の場合はヘルニアが線維輪から脱出していないものに限られます )
又、軽度のヘルニアの保存療法としてニュージーランドの理学療法士のロビン・マッケンジー氏の考案した、“マッケンジーエクササイズ” と言われる腰椎の伸展エクササイズを取り入れている医院や病院もあります。
<マッケンジー体操の項でマッケンジーエクササイズの方法と書籍・グッズを紹介しています。>
ヘルニアに関する詳しい情報はリンクページ加茂整形外科医院HPを参照して下さい。
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